JAAS News第120号をお届けします 
            シニア社会学会事務局 2009年7月8日

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1.第8回大会・パネルディスカッション          
    同上    会員の感想              2
2.大川情報通信基金 助成研究調査報告          2―3
3.研究会開催のご案内                  3
4.2009年連続講座のご案内              3―4
5.シニアニュース                    4

前号に引き続き、去る5月30日に開催されました第8回大会に関する報告をお知らせします。

1.第8回大会・パネルディスカッション「いつでも現役・いつまでも現役」
◇コーディネーター
○袖井 孝子氏(当学会会長・お茶の水女子大学名誉教授)
「いつでも現役・いつまでも現役」というのは、労働市場に高齢者が居座り続けるということではない。後進に道を譲ることも大切。高齢者がその能力を活かして、生き生きと社会に参画し続けることは、本人はもちろん、家族・社会あるいは国にとっても、重要なことなのである。

◇パネリスト
○天谷 正氏(日本文理大学客員教授)
これまでの「定年」の考え方は、そこで、いままでのすべてを「断ち切る」というイメージで、「現役か引退か」という二項対立としてとらえられてきた。これを「1日の昼から夜への自然な移り変わり」のように、「連続した分け方」「自然な移行」のように考えていきたい。

○小林 美代子氏(パワフル・エイジング代表)
昨年春に、まったく思いがけない大病を患い、幸いにも、回復することができたが、健康であると思っていても、何があるのか分からないのが人生であると実感した。こうしたときに、自分が責任をもってやらなければならない仕事をもっていたことが、心の支えになったと思う。

○新井 正彦氏(()東京都雇用開発協会・高年齢者雇用アドバイザー)
現役であるかどうかは、プロフェッショナルであるかどうかということである。プロフェッショナルであるというのは、だれかに頼るのではなく、自分自ら何かを創造する、あるいは、そういう機会・場を創り出すことである。誰かが創ったものに、参加することではない。

◇コメンテーター
○濱口 晴彦氏(当学会副会長・早稲田大学名誉教授)
「人生に必要なものは、夢と勇気とサムマネーである」(チャーリー・チャップリン)。「夢」は、目的であり、「サムマネー」は、いくばくかのお金であって、けっして、大金というわけではない。「勇気」は、行動を起す原動力だが、その背景には、哲学・思想がなければならない。

会員の感想 <パネルディスカッション>   上野 栄一氏(北海道北見市)
 原稿の依頼があるとは思わず、あわてて第8回シニア社会学会大会の資料を引っ張り出し、読み直して、その当時のことを思い出しながら書きましたので、思い違いなどあるかもしれませんがお許しください。
 今回のパネルディスカッションで一番印象に残ったのはパネリストの天谷氏、小林氏、新井氏の若々しく、気概のあるお姿でした。それぞれの話も実体験に裏打ちされたもので、これからも皆さん方の後を追いながら「いつまでも現役」を貫かなくてはいけないと思っている私にとって大変参考になるものでした。
 様々な質問がありましたが、「定年後の社会参加をどの様な方法でやっていくのか」という質問についてのやり取りが面白かった。おそらくその内容はこの大会の報告書のどこかに掲載されていると思います。私が思うのは、どんなことも思いきって飛び込んでみることだということです。そしてシニア世代だけでまとまるのではなく、特に若い世代を巻込む事がポイントだと思います。
シニア世代が中心になって定年後何らかの事業を立ち上げ若い世代を雇用するという構図が広がっていけば年金問題に象徴されるような世代間の不公平感の解消につながっていくし、シニアが現役であることの意味も生きてくるでしょう。シニア社会学会もこういった方向性をいままで以上にアピールすることによってその会員層の拡大につなげていくことが出来るのではと考えます。

◆会員の感想 <感銘を受けた3人の言葉>     杉山 由美子氏(東京都新宿区)
「今も映画館に足を運びます」とおっしゃる天谷正先生。定年後の仕事は「その会社で明日からここで何ができるのか話せて、提案したら、舞台作りして踊る覚悟が必要」であり「人的ネットワークが重要」という指摘に、大きくうなずきました。
 現役園長先生の小林美代子さんは闘病をへて現役復帰。「仕事があるから元気でいられる」とおっしゃって、さらに「引退したら別の仕事探します」というパワフルな発言に目をまるくしました。
「いくつになっても自分をみがく」「つながりをもつ」大切さを説いた新井正彦先生。
 現役で後期高齢をかくしゃくと生きる3人に励まされました。認知症の母は早くから老いを理由に新しいことをせず、人間関係を狭めてきたことを思うと、3人の「老いは希望に満ちた冒険である」というベティ・フリーダンの言葉通り、いくつになっても前進する姿こそ、老いの叡知だと感じました。

2.大川情報通信基金 助成研究
高齢社会における高齢者のIT 利用とQOL(生活の質)の向上」について
 本助成研究は、ITが高齢者の社会関係の拡大、生きる意欲の向上などQOL(生活の質)にどのような効果をもたらすかを明らかにすることを目的に、袖井会長と当学会定点観測プロジェクトメンバー(森やす子、荒井浩道、澤岡詩野、鈴木昭男)で進めている。
 200949日〜23日に“BIGLOBE Station50”のユーザを対象としたWeb調査を行い、50歳以上の3,310名(男性2,883名、女性927名)から回答が得られた。
 一週間、パソコンからメールを送っていないという人が各年代とも半数近くおり、携帯電話を利用している人で一週間の携帯電話からのメールを送っていない割合は年齢が高いほど高い。
 パソコンメールの送信先は、子ども、趣味や余暇活動を通じての友人・知人とした割合は年齢が上がるほど高い。携帯電話メールの送信先は、配偶者と子どもが際立って多く50%を越えているが、65歳以上になると配偶者とした割合は30%台となる。これは配偶者が携帯メールを利用しない(できない)ということが理由の一つとして考えられる。
 年齢が高いほどと、自己の能力への満足、人間関係への満足度、生活活力への満足度が高い傾向がある。健康状態に満足していると、この3つの満足度が高い傾向が見られる。
今後分析を進め、これら生活の質の評価とIT利用の関係について明らかにしていきたい。

3.研究会開催のご案内
◆第3回「自立と共生の社会学」研究会開催のご案内 (座長:濱口晴彦当学会副会長)
濱口研究会の新シリーズ「自立と共生の社会学」研究会第3回は、下記の通り開催されます。
(1)   日時 :717()17時〜19
(2)   場所 :早稲田大学高田牧舎2階人総研会議室
(3)   テーマ:発表―大木壯次さん「第3章 正規雇用―非正規雇用を超えて」
(4)   その他:研究会参加費として300円を徴収させていただきます。
参加ご希望の方は、メールまたはFAXで事務局までご連絡ください。お問い合わせ等は、事務局島村までお願い致します。

◆第34回(8月)社会保障研究会 (座長:袖井孝子当学会会長)
7月は会場の都合で開催を見送らせていただき、代りに8月上旬に開催いたします。
なお、研究会終了後、交流会を予定しております。
  時:86日(木)18:時〜
 所:高齢者生活協同組合会議室(前回と同じ) 豊島区池袋3-2-1 光文社ビル6F
          最寄り駅 : 東京メトロ要町駅 5番出口 徒歩3分、JR池袋駅西口 徒歩10
報告者:林 葉子(お茶の水女子大学ジェンダー研究センター 特任リサーチフェロー)
テーマ:夫婦間介護の現状と課題
参加ご希望の方は、メールまたはFAXで、前日85日迄に事務局宛ご連絡下さい。

4.2009年度連続講座『熟年世代の夫婦論』の参加者募集開始
 本年(2009年度)の連続講座について参加者の募集を開始いたします。参加は各回ごとに自由にお選びいただけます。昨年同様、6回全講座の一括申し込みも割引参加費にてお受けします。
 2009年度 シニア社会学会・連続講座参加者募集
               (ケーキ、コーヒーor紅茶付き)

(1)全体テーマ:『熟年世代の夫婦論』 〜人生の午後をどう生きるか〜
   各回テーマと講師
  ・第1回 2009926()「いま、なぜ中高年夫婦が注目されるのか」
                                (袖井孝子)

  ・第2回 20091017()「夫婦で創る定年後ライフ」  (加藤 仁)
  ・第3回 20091114()60歳からの夫婦の家」   (天野 彰)
  ・第4回 2009125()「団塊夫婦の地域福祉実践」   (川村匡由)
  ・第5回 2010116()「安心の老後設計」       (榊原節子)
  ・第6回 2010213()「後悔しない人生のフィナーレ」(吉田太一)
(2)場 所 :東京銀座・資生堂 9Fホール
(3)開催要領:各回とも、14時〜16時の開催。募集人数は最大45名。
    各回の参加費は、会員2,500円、非会員3,000円。
    6回分一括前納の場合、会員12,000円、非会員15,000円。(参加証を発行)
    (一括前納の申し込みは、911日(金)までの受け付けとなります)

※お申し込みは、@氏名、A参加の講座、B連絡先を明記し、eメール、FAXで事務局まで。
※参加費は、当日、会場にてお支払いください。(6回分一括前納は事前のお振込をお願いします)
※今後とも各回ごとにJAAS Newsなどで随時お知らせいたしますが、ご家族やご友人などにもお声掛けをお願いいたします。多数の方のご参加をお待ちしております。
(事務局担当 鈴木)

5.シニアニュース
日野市の「ひの社会教育センター」がデンマークに学ぶ高齢者福祉視察&子育て文化の視察旅行について一般募集をしていますので、参考までにご紹介します。
(詳細は下記URL参照)

◆デンマークに学ぶ高齢者福祉視察
2009816日(日)〜24日(月)現地費用:328,000円 
募集人員:20名(最少催行15名) 訪問都市:デンマーク ロスキレ市
http://www.hino-shakyo.com/kokusai_kouryu/denmark_koureisha/d_senior_schedule.html

◆デンマークに学ぶ子育て文化視察
2009816日(日)〜24日(月)現地費用:328,000円 
募集人員:20名(最少催行15名) 訪問都市:デンマーク ロスキレ市
http://www.hino-shakyo.com/kokusai_kouryu/denmark_kosodate/kosodate-2009.html