「個人の生き方」と「多様な生き方」の両立をめざして

 「私はどう生きるか」という問いかけは、現代に生きる者にとって避けて通れないものとなって久しい。 それと同時に多様な生き方を認め合う社会のあり方も模索されている。しかし、近年の社会の急激な変化の 中で、本来両立しうると思われてきたこの二つの課題の間に微妙な齟齬が生まれているような気がしてならない。

 日本的経営特質は「集団主義」といわれ、政府にバックアップされた産業は「護送船団方式」と呼ばれる 集団態勢をとることで国際競争力を身につけたとされ、これが1950年代から60年代の日本の高度経済成長を 支えたのだといわれてきた。しかしながら1980年代中盤以降、「新自由主義」が日本に本格的に導入されて 以降状況は大きく変わった。それは国や公共機関の事業を民営化し、すべてを市場のメカニズムに委ねる 考え方で、規制緩和、内需拡大を旗印に、日本的経営の集団主義を批判し、能力主義や効率主義に基づく 企業の組織改革への圧力となった。そして働く人にとっては、生涯同じ会社のために尽くすという生き方へ の反省を促し、多様なキャリア選択の道を拓く一方、個人の能力や効率的働き方について個人の責任を厳し く問う傾向をも助長した。
 ところがその結果、現実には、企業の利益は従業員よりは株主中心に配分される構造へと変容されること によって、低賃金や非正規雇用の増大を生み出し、働く人の賃金格差やジェンダー間・年齢間格差、社会の 分断と対立をもたらすことになった。個人の「多様な生き方」の理念は、自らの選択によるというよりは、 大きく変化しつつある社会の仕組みのなかで歪められていると思わざるを得ない。新自由主義を支える価値 観の一つである「個人主義」はたしかに滅私奉公的「集団主義」とは対立する側面を持ち、自らの生き方を 見つめ直す価値観としての意義は変わらないであろう。とはいえ、ビジネスの世界や大学の研究費獲得競争 にみるように、能力主義と効率主義、短期に成果を出すことが個人の責任とされる傾向は、他人を思いやる 寛容な個人の理念に合致するものであったのだろうか。また、個人の多様な生き方を相互に認め合う社会を 生み出す潜在的可能性をもちうるのであろうか。
 本年度のシニア社会学会大会のテーマは「だれ一人取り残さない社会の実現を目指して:共生型コミュニ ティの創出」と設定された。ヴァーチャル空間での言葉や映像によるリアルな偽装、軍事侵攻やテロ行為を 含め先行きの見えない混沌とした世界の状況の中で、われわれは一人ひとり自分の生き方を模索しながらも 相異なる生き方を相互に認め合い支え合う関係のあり方により目を向ける必要があるのではないだろうか。 当学会の会員には、他者の支援の中に生きがいを見出すような活動に従事している人が少なくない。それらの 活動の一部を紹介し、そのような活動を通して「共生型コミュニティ」について議論してみたい。そのような 議論の積み重ねが、個人の生き方を大事にするために、お互いに違いと多様性を認め合うコミュニティの創造 につながることを期待したい。

2024年5月
一般社団法人シニア社会学会事務局長 長田攻一

2024年度定時総会・第23回大会開催のお知らせ(続報)

2024年度の総会・大会開催場所は「千葉商科大学市川キャンパス」に決まりました。 終了後に「懇親会」の開催を予定しております。皆様と久しぶりに直接対面でお話しできる機会となることを 楽しみに、多くの会員のご参加をお待ちしております。

1)開催日:2024年6月22日(土)
2)時間 :総会(会員のみ)10:30~12:00 大会13:00~16:40
3)会場 :千葉商科大学市川キャンパス7号館711教室(オンライン併用)
4)参加費:大会1,000円(学生無料)、懇親会4,000円
大会テーマ:「だれ一人取り残さない社会の実現に向けて:共生型コミュニティの創出」
(1)基調講演:「共生型コミュニティ創出のための媒介組織の役割と実践」
  手塚明美(認定NPO法人 藤沢市民活動推進機構 理事長、
       一般社団法人ソーシャルコーディネートかながわ代表理事)
(2)パネルディスカッション:司会:長田攻一(当学会理事)
<パネリスト>:
★ 吉竹 弘行(当会理事、千葉商科大学教授)
福島で地元学生たちと進める都市養蜂活用による地域活性化
★ 齋藤 紀子(会員、千葉商科大学准教授)
行政・企業・無償ボランティアによる対応からこぼれ落ちたニーズに応える有償ボランティア
★ 青山 陽子(会員、3B生活芸術研究所所長)
社会の期待の外側に居場所をつくる:B型事業所におけるASD(自閉スペクトラム症)者支援の事例から
<コメンテーター>:手塚明美
≪懇親交流会≫17:00~18:30 千葉商科大学市川キャンパスThe University Dining
【申込方法】
申込は終了いたしました。
詳細は、プログラム PDFアイコンをご覧ください。

会場入り口において、共生型コミュニティの創出に取り組む学生の活動を紹介しています。
「福島S-HART事業」は、大学が、地域共生コミュニティ創造のために、ステークホルダーと呼ばれる関係者 に対して媒介機能と推進支援機能を持つことを試行している事業である。
この事例では、空港を含む地域の活性化を図る目的に対して、第一ステップの手段として、都市養蜂をテーマに、 地域の高校生を巻き込み、企業群や行政を巻き込んで、可能性を試してきた事例に対する報告を行う。

「よろず隊」学生たちによる、草刈り、家具移動、PC/スマホ操作支援、電球交換などの生活支援有償ボランティア活動。
少子高齢化社会における高齢者の生活上の困りごとを解決すること、およびさまざまなステイクホルダーとの コミュニケーションや組織マネジメントを通じて学生の成長を図ることを目的とした、アクティブ・ラーニング・プログラム。

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研究会開催案内

「社会保障」研究会

第161回「社会保障」研究会開催のお知らせ
(1)日 時:2024年6月26日(水) 18:00~20:00
(2)報告者:宮崎進一(一般社団法人全国地域生活支援機構・代表理事)
(3)テーマ:「民間企業(ウエルシア薬局)が推進する地域社会における多主体協働活動の実践~地域包括ケアシステム・地域共生社会における地域活動の位置づけ」
(4)Zoomで開催いたしますので、ご参加を希望される方は、阿部ご連絡ください。後程、招待メールを差し上げます。
阿部fujiko-s@jeans.ocn.ne.jp
(@は、半角にしてメール送信ください)
※ご質問がございましたら、阿部までご連絡下さい。

「シニア社会のリテラシー」研究会

第98回「シニア社会のリテラシー」研究会開催のご案内
(1)日 時:2024年6月27日(木)15:00~18:00
(2)場 所:早稲田大学・国際会議場4階第7共同研究室
(3)テーマ:
①発表:薄井 滋-『コミュニティ学のススメ』を読み解く
②討議-コミュニティの「シニアの役割について」
③討議-シニア社会学会・大会テーマ「共生型コミュニティの創出」について
(4)参加費:300円
*お問い合わせ等は、島村(ken-sima1941@jcom.home.ne.jp)までお願い致します。

「災害と地域社会」研究会

第69回「災害と地域社会」研究会開催案内
(1)日 時:2024年6月19日(水) 18:00〜20:00
(2)会 場:早稲田大学26号館1102
(3)開催形式:会議室対面とZoomのハイフレックス開催
(4)早稲田大学「地域社会と危機管理研究所」との共催
(5)報告者: 所澤新一郎氏(共同通信社 編集局気象・災害取材チーム長)
(6)テーマ:「能登半島地震の現状と教訓」(仮)
※ お問い合せ、お申し込みは、長田までメールでお願いします(pfb00052@nifty.com)

「社会情報」研究会

第52回「社会情報」研究会開催のお知らせ
(1)日 時:2024年7月3日(水)15:00~17:00
(2)場 所:Zoom開催
(3)概 要:「スマホを利用したいと思う時、困ったこと」をテーマに進める
*参加ご希望やお問い合わせ等は、担当:森(moriyasu@ied.co.jp)までお願い致します。

「YNSやまぶき任意後見サポート会」

第45回「「YNS やまぶき任意後見サポート会」開催のお知らせ
(1)日 時:2024年6月22日(土) 18:30~20:30
(2)場 所:品川区東大井 5-18-1 きゅりあん 第一グループ活動室
(3)テーマ:認知症とともに生きる
  「信託」と「任意後見」のことを考えていきます。
認知症らしさを体験することで新たな発見が生まれます。人形劇、寸劇その他劇団員募集しています。Zoomの参加もできます。
(4)発表者:鈴木眞澄及びその他及びその他YNS やまぶき任意後見、アワーズ
*お問い合わせ等は、担当:鈴木眞澄(mme_masumi@yahoo.co.jp)までお願い致します。

「ライフプロデュース」研究会

第53回「ライフプロデュース」研究会開催のお知らせ
(1)日時:2024年6月28日(金)17:30~19:30
  Zoom開催
(2)テーマ:「生涯現役」とは?「生涯現役社会」とは?
(3)報告者:立花一元さん(当学会会員 ライフプロデュース研究会メンバー)
※ご連絡ご質問は、中村までご連絡ください。(nakamurayoshiko6@gmail.com)

新着情報

2024.6.18 JAASNews第298号を掲載 PDFアイコン 
2024.5.21 JAASNews第297号を掲載 PDFアイコン
2024.4.16 JAASNews第296号を掲載 PDFアイコン
2023.12.19 活動についてに活動評価委員のコメント第3回を掲載しました
2023.11.20 活動についてに活動評価委員のコメント第2回を掲載しました
2023.10.17 活動についてに活動評価委員のコメントを掲載しました
2022.6.29 事務所移転しました
新住所
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21
  ちよだプラットフォームスクウェア1037
2021.12.07 2021年8月8日(日)に行われた板倉真琴監督「ひとと原発」上映対談会の記録を掲載 PDFアイコン
2020.1.20 「災害と地域社会」研究会2016―2018年度報告書を掲載 PDFアイコン(4.2MByte)(ファイルの容量が大きいのでお気をつけください)
      3/13内容に修正があったため、差し替えております。
2019.11.11 第5回シンポジウム「あれから 8 年-<二点居住>という生活のかたち 」の記録を掲載 PDFアイコン
2018.8.6 第4回シンポジウム「あれから7年~私たちはフクシマをわすれない~」の記録を掲載 PDFアイコン
2017.4.19 「災害と地域社会」研究会2015年度報告書を掲載 PDFアイコン(3.7MByte)
      (ファイルの容量が大きいのでお気をつけください)
2017.3.8  2016年11月19日に開催したシンポジウム「(第3回)私たちはフクシマをわすれない」の記録を掲載 PDFアイコン
2016.4.28  「コミュニティ学のススメ-ところ定まれば、こころ定まる」要録を掲載 PDFアイコン
2015.9.24 「災害と地域社会」研究会2014年度報告書を掲載 PDFアイコン(8.5MByte)
      (ファイルの容量が大きいのでお気をつけください)
2015.4.16  「あれから5年~私たちはフクシマをわすれない~」要録を掲載 PDFアイコン
2014.10.8 「災害と地域社会」研究会2013年度報告書を掲載 PDFアイコン
      (この報告書目次のタイトルをクリックすると、各章に跳びます。)
2014.7.4 機関誌「エイジレスフォーラム」投稿規程を掲載 PDFアイコン
2013.7.8 「濱口研究会10年・100回記念号―シニア社会のリテラシー」頒布のお知らせ 
2012.4.12 2011年度WAM助成事業「ICTによる高齢者孤立防止モデル普及事業 報告書」 PDFアイコンを掲載
2011.4.1 2010年度WAM助成事業「ICTによる高齢者孤立防止モデル開発事業 報告書」 PDFアイコンを掲載
2010.5.1 ホームページをリニューアルしました。